ブランドは「つくる」のではなく「育てる」もの
札幌のホテルマーケットは、いま大きな転換期に差し掛かっている。インバウンド需要の回復により稼働は高水準で推移する一方で、ここにきて外資系ホテルの開業が相...
ホテルは「地域のハブ」になれるのか クロスホテル札幌が実装する共創のかたち
ホテルは「泊まる場所」にとどまらない——そうした言葉は広く語られるようになった。しかし、それを運営の中で実装しているホテルはまだ多くない。東京・大阪・京都といった主要都市では外資系ホテルの進出が進み、競争環境はすでに成熟段階にある。一方で札幌は、これまで外資系ホテルの進出が限定的だったエリアである。しかしここにきて、その状況は大きく変わりつつある。札幌は、「これから競争が激化する市場」へと移行しつつある。こうしたなかで既存ホテルに求められるのは、価格を下げることで稼働を確保する消耗戦ではなく、いかに自らの個性を打ち出し、「選ばれる理由」を構築するかである。
では、その「選ばれる理由」はどのように生まれるのか。本稿では、クロスホテル札幌 総支配人の三上直也氏への取材を通じて、その一つの実装例として、地域との関係性を起点にした価値創出のあり方を読み解く。クロスホテルが取り組むのは、地域とのつながりを通じて、宿泊施設としての価値だけでなく、「まちのホテル」としての存在意義をかたちづくることにある。それは単なる施策ではなく、日常の運営に組み込まれた共創の仕組みである。その実践から、ホテルが継続的に価値を生み出し続けるためのヒントを探る。