自分だけの勝ち筋をつくる
「もともとはフレンチのシェフになることしか考えていませんでした。ただ、日本に帰ってきた頃はまだリーマンショックの影響も残っていて、高級店を出すのは少し難しいのではないかと思っていました」
自分で店をやるなら強みを生かした業態にしたい。兼子シェフの強みは、リーズナブルな食材でもおいしい料理をつくれることだった。当時の東京にはすでにおいしいレストランが数多くあったからこそ、“おいしいだけでは差別化にならない”という認識が出発点にあった。
当時フランスでは、高級レストランで修業したシェフがカジュアルな業態を出す流れが始まりつつあったが、日本にはまだその動きはなかった。そこ...
選ばれるレストランは、どうつくられるのか。L'AS 兼子大輔シェフが語る体験設計とブランドづくり
東京・南青山「L'AS」は、開業から10年以上が経った今も、平日から満席が続く。ワンコーススタイルという独自の設計で高級フレンチを再解釈し、価格を上げながらも支持を失わない稀有な店だ。シグネチャーの“フォアグラのクリスピーサンド”、洗練された空間と細部に宿るこだわり。料理人でありながらレストラン体験のすべてを設計する兼子大輔シェフのビジネスセンスは、名古屋・大阪のホテルレストラン監修にも活かされている。なぜL'ASは支持され続けるのか。そしてトランジットグループ参画を経た料理人は、今何を目指しているのか。