全国の小中高生が考案した“地元食材の雑煮”を審査 第4回Z-1グランプリ、東京すし和食調理専門学校でグランプリ決戦を実施

公益社団法人全国調理師養成施設協会は5月22日、東京すし和食調理専門学校(東京都世田谷区)にて、オリジナル雑煮コンテスト「第4回Z-1グランプリ」のグランプリ決戦を実施した。同コンテストは、雑煮の食文化継承を目的に、全国の小中高生を対象として開催しているもの。第4回大会では、全国の調理師学校を窓口に、地元食材を使ったオリジナル雑煮レシピを募集し、1,636作品の応募があった。

 一次・二次審査を通過した5作品について、同校の教員・学生が再現調理を行い、審査員による実食審査を実施。その結果、グランプリには「岐阜薬膳雑煮」(考案:林 瑠海氏、城南高等学校2年生/推薦:岐阜調理専門学校)が選ばれた。また、準グランプリには「天むす雑煮」(考案:木下 智紗子氏、愛知県立瑞陵高等学校2年生/推薦:ニチエイ調理専門学校)が選出された。

 「Z-1」は、雑煮と全国調理師養成施設協会の頭文字「Z」に由来する。第4回大会のテーマは「いつでも食べたい、地元食材で私のオリジナル雑煮!」。応募条件には、もち米から加工された餅を入れた汁であること、地元食材を1種類以上使用すること、1杯分の材料費を500円以内とすること、地産地消や食品ロスなどSDGsを意識することなどが設けられた。

 グランプリ決戦に進出したのは、「八福の彩り イナムドゥチー雑煮~沖縄伝統×新春~」(考案:東與那覇 稀乃氏、石垣市立石垣中学校2年生ほか/推薦:琉球調理製菓専門学校)、「伊勢の恵み雑煮~伊勢芋入りつくねと伊勢茶漬け仕立て~」(考案:德永 百花氏、三重県立明野高等学校2年生/推薦:ユマニテク調理製菓専門学校)、「イナンクル(幸せ)貝苫(かいせん)雑煮」(考案:近藤 未彩氏、北海道文教大学附属高等学校2年生/推薦:北海道文教大学附属高等学校)、「岐阜薬膳雑煮」(考案:林 瑠海氏、城南高等学校2年生/推薦:岐阜調理専門学校)、「天むす雑煮」(考案:木下 智紗子氏、愛知県立瑞陵高等学校2年生/推薦:ニチエイ調理専門学校)の5作品。

 当日は、東京すし和食調理専門学校の教員・学生が、応募レシピを基に各作品を再現。審査員は、同校学校長の長谷川哲也氏、同校学生2名に加え、「銀座小十」店主の奥田透氏、俳優・タレントの池田航氏が務めた。奥田氏は東京すし和食調理専門学校の教育顧問も務めており、池田氏は調理師学校を卒業し、調理師免許を取得している。

 本コンテストは、地域に根付いた雑煮文化を、若い世代の視点から捉え直す取り組みでもある。各作品では、地域の食材や郷土料理の要素を取り入れながら、日常的に食べられる一杯としての工夫が見られた。伝統食を単に継承するだけでなく、食材の選定、調理工程、原価、食品ロスへの配慮などを含めて考案する点は、調理教育や食育の観点からも意義がある。

 全国調理師養成施設協会は、調理師学校に関する各種事業を行う団体として、食文化の継承や食育活動にも取り組んでいる。Z-1グランプリでは、全国の調理師学校が地域の窓口となり、小中高生が地元食材や地域の食文化に触れる機会を創出している。

 今回のグランプリ決戦は、若い世代によるレシピ開発と、調理師養成施設による再現調理を組み合わせることで、地域食材の活用、食文化の継承、次世代の食への関心醸成をつなぐ場となった。

第4回Z-1グランプリ ファイナリスト5作品

【岐阜薬膳雑煮】
考案者:林 瑠海氏
所属:城南高等学校2年生
推薦校:岐阜調理専門学校
受賞:グランプリ
 「岐阜薬膳雑煮」は、岐阜県の地域性と薬膳の考え方を組み合わせたオリジナル雑煮。作品名からは、地域食材を生かしながら、体を温める、巡りを整える、季節の変わり目に食べやすいといった薬膳的な視点を取り入れた一杯であることがうかがえる。
雑煮は地域ごとに餅の形、だし、具材、味付けが異なる料理であり、本作品では「地元食材」と「体をいたわる食」の要素を掛け合わせている点が特徴と考えられる。若い世代が、郷土性だけでなく、健康志向や日常的な食べやすさを意識して雑煮を再構成している点は、Z-1グランプリのテーマとも合致している。

【天むす雑煮】
考案者:木下 智紗子氏
所属:愛知県立瑞陵高等学校2年生
推薦校:ニチエイ調理専門学校
受賞:準グランプリ
 「天むす雑煮」は、愛知・名古屋圏の食文化として知られる天むすの要素を雑煮に取り入れた作品。天むすは、エビの天ぷらと米飯を組み合わせた料理として広く知られており、本作品ではその親しみやすい地域性を、正月行事食である雑煮の形式に落とし込んでいる点が特徴といえる。
 雑煮という伝統的な料理に、地域の名物料理の要素を重ねることで、若い世代にも分かりやすく、食べてみたいと思わせる構成になっている。餅と汁物という雑煮の条件を満たしつつ、天むすの印象をどのように具材や仕立てで表現したかが、作品の見どころとなる。

【 八福の彩り イナムドゥチ雑煮~沖縄伝統×新春~】
考案者:東與那覇 稀乃氏
所属:石垣市立石垣中学校2年生ほか
推薦校:琉球調理製菓専門学校
 「八福の彩り イナムドゥチ雑煮~沖縄伝統×新春~」は、沖縄の郷土料理である「イナムドゥチ」の要素を雑煮に取り入れた作品。イナムドゥチは、豚肉やこんにゃく、かまぼこ、しいたけなどを用いた汁物として知られ、沖縄の行事食の一つとして親しまれている。
 本作品では、沖縄の食文化を象徴する料理をベースにしながら、新春に食べる雑煮として再構成している点が特徴といえる。作品名にある「八福の彩り」からは、複数の具材を組み合わせ、祝いの場にふさわしい彩りや縁起の要素を意識した一杯であることがうかがえる。沖縄伝統の汁物と、全国的な正月料理である雑煮を掛け合わせることで、地域性と季節性を両立した作品となっている。

【伊勢の恵み雑煮~伊勢芋入りつくねと伊勢茶漬け仕立て~】
考案者:德永 百花氏
所属:三重県立明野高等学校2年生
推薦校:ユマニテク調理製菓専門学校
 「伊勢の恵み雑煮~伊勢芋入りつくねと伊勢茶漬け仕立て~」は、三重県・伊勢地域の食材を取り入れた作品。作品名には「伊勢芋」「伊勢茶」が明記されており、地域食材を主軸に構成された雑煮であることが分かる。
 伊勢芋をつくねに加えることで、食感やまとまりを持たせるとともに、伊勢茶を使った茶漬け仕立てにすることで、雑煮を日常的にも食べやすい一杯として表現している点が特徴といえる。餅を使った正月料理でありながら、茶漬けの要素を取り入れることで、食後感や食べやすさにも配慮した構成となっている。
 地域食材を複数取り入れながら、一杯の料理としてまとめている点は、Z-1グランプリのテーマである「地元食材で私のオリジナル雑煮」に沿った内容である。

【イナンクル(幸せ)貝苫(かいせん)雑煮】
考案者:近藤 未彩氏
所属:北海道文教大学附属高等学校2年生
推薦校:北海道文教大学附属高等学校
 「イナンクル(幸せ)貝苫(かいせん)雑煮」は、北海道の食材や地域性を取り入れた作品。作品名にある「イナンクル」は「幸せ」を意味する言葉として示されており、料理を通じて地域の魅力や食べる人への思いを表現している。
 また、「貝苫(かいせん)」という表記からは、貝類や海産物を想起させる構成が読み取れる。北海道は水産物の産地として知られており、本作品では地域の海の恵みを雑煮に取り入れることで、土地の特色を生かした一杯として考案されたものと考えられる。
 雑煮は地域ごとの食材やだし文化を反映しやすい料理であり、本作品では北海道らしい素材感と、食べる人の幸福を願う意味合いを組み合わせている点が特徴といえる。

松島基機

HOTERES編集部

編集部

ホテル専門メディア『HOTERES』の編集チーム。創刊60年の専門誌「月刊HOTERES」と「HOTERES Digital」を横断し、経営、開発、投資、ブランド戦略、運営、食、人材といったテーマを軸に、取材および調査・分析を行っている。業界をリードする経営者やトップマネジメント、事業者・運営会社・投資主体への取材に加え、日本国内のホテル新規開業動向、ホテルチェーン一覧、売上高ランキングなどのデータ収集・整理を継続的に実施。マーケット・リサーチの視点も取り入れながら、ホテルを取り巻くビジネスの構造や意思決定の変化を多角的に提示している。