ブランド戦略

ホテルブランドは、何を約束するのか ― 「選ばれる理由」を設計するブランド戦略(後編)

前編では、ブランドを「選ばれる理由を設計すること」と捉える木下昌之氏の考え方をもとに、ブランドの本質やグローバルブランドの強さについて聞いた。 しかし、ブランドは言葉やコンセプトだけでは成立しない。 どれだけ魅力的なブランドアイデンティティを掲げても、それが顧客体験として届けられなければ意味はない。さらに、それを支える人材や組織、日々の運営まで浸透して初めてブランドは価値を持つ。 実際、近年のホテル業界では新規開業やブランド展開が活発化する一方で、空間や設備だけで差別化することが難しくなっている。だからこそ、「何を提供するホテルなのか」「誰にどのような価値を届けるのか」というブランドの思想を、いかに体験へ翻訳し、一貫して届け続けるかが重要になっている。 では、そのブランドはどのように生まれ、どのように顧客体験へ変わっていくのだろうか。 後編では、ブランドアイデンティティの構築から体験設計、人材・組織との関係、そして日本発ブランドの可能性について話を聞いた。
ブランドは「存在理由」から生まれる ブランドアイデンティティはどのように構築していくのでしょうか。 ――ホテルブランドは、コンセプトやキャッチコピーだけで成立するものではないと思っています。ブランドアイデンティティは、作るというよりも、見つけていくものに近い感覚があります。私たちがブランド開発を行う際は、まず市場環境、マクロトレンドの分析・予測、エリア特性、競合環境、顧客インサイト、そしてオーナーのビジョンや意思を丁寧に紐解くところから始めます。重要なのは、これらを個別に見ることではありません。それぞれの要素が交差するポイントを見つけ、「なぜこのホテルが存在するべきなのか」「なぜこの場所でなけ...
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武田雅樹(Takeda Masaki)

武田雅樹(Takeda Masaki)

㈱オータパブリケイションズ 執行役員 ブランドメディア統括/Chief Brand & Editorial Officer。

ホテル開発、ブランド戦略、デザイン、トレンドなどを横断的に取材・分析し、事業・開発・運営をつなぐ視点を強みに活動。ホテルを「事業」と「体験」の両面から再解釈し、その価値や可能性を多角的に読み解く。また、都市や地域のなかでホテルが果たす役割や意味に注目し、国内外での取材・視察を通じて、観光・まちづくり・コミュニティとの関係性を問い続けている。メディアを単なる情報発信の手段ではなく、人と人、思想と実装を接続する“場”として設計し、業界を横断する対話と共創の機会を創出。HOTERES Digitalでは、ホテルの「いま」と「裏側」を掘り下げながら、現場のリアリティとグローバル潮流をつなぐ編集・発信を行なっている。