インタビュー

奈良発!AIを経営・運営に活用し、会社設立から2年で計22の宿泊施設を展開

いま奈良市内で、AIを活用した宿泊施設が続々と誕生している。その宿泊施設を経営・運営するのは(株)コンフィーステイ。同社は2024年に会社設立。会社2期目の売上高は約2億2000万円から2億3000万円ほどで、第3期目の現在はさらなる成長を遂げようとしている。同社の金児崇行(かねこ・たかゆき)代表取締役に現状や今後の目標について聞いた。

(株)コンフィーステイ
代表取締役
金児崇行氏

個人事業から短期宿泊事業を開始

「2011年5月に個人事業として、短期宿泊事業を始めました。その後14年に民泊事業を開始。いまの会社の形になったのは24年1月に会社を法人化してからです。『住むように暮らす』をコンセプトに掲げ、奈良市内を中心に無人ホテル・宿泊施設を開発・運営しています。現在は6名の社員に、清掃アルバイト社員の方を含めると約40名で宿泊施設を運営しています」と話すのは、金児崇行代表取締役。
 同社は26年3月現在、奈良19施設・大阪3施設、計22施設を運営。7月15日にはさらに4施設増加予定。会社設立2期目(25年7月決算)の売上高は約2億2700万円を達成したという。

「宿泊業をテック産業へ」

 同社はいわゆる民泊事業を主軸としている。法人で民泊事業を始めている事例は増えているが、他社との違いはテクノロジーを活用していること。金児氏は、主な特徴として以下の七つを挙げた。

  1. 無人・自動化オペレーション
  2. AIの全面活用
  3. 自社予約システムの構築
  4. PMS・IoT連携
  5. 自社NASサーバーによるデータ一元管理
  6. 全施設10Gネットワーク整備
  7. データドリブンな経営管理

「生成AI分野の専門エンジニアを迎え入れ、そこから一気に当社のテクノロジーが進み、いまは弊社の社員として活躍しています。彼が入社したことで、当社はAIを経営・オペレーションの中核に据えることができ、飛躍的に成長できました」

AIの全面活用とコロナ禍の教訓を活かした経営

 金児氏の話を聞くなかで、1番のポイントを挙げるなら「AIの全面活用」だろう。
「当社は約2年前よりAIを活用し、需要・競合・曜日・イベント情報をもとに宿泊単価をリアルタイムで最適化し、収益の最大化を図るダイナミックプライシングを実装しています。各OTAに蓄積されたゲストレビューをAIが自動で精査・分類し、自社サイトへ16言語で自動反映する仕組みの構築は直販予約の信頼性向上につながっています。加えて、清掃・備品補充データをもとに、リネン類をはじめとする消耗品の使用量をAIが自動集計・予測し、発注精度の向上と在庫ロスの削減を実現できました」と話す。
 同社の大手民泊サイトにおけるレビューは高く、その結果、宿泊施設のADRは5万円以上。宿泊客は、欧米・アジア圏を中心としたインバウンド旅行者と、国内カップル・ファミリー層で、割合は50:50。
「個人事業で民泊を運営していたときは、外国人が宿泊割合の約95%を占めていましたが、コロナ禍で大打撃を受けました。そのときから、国内客を意識的に取り込むようにしています。OTAへの依存度を低減するためにも、Next.js製の多言語対応自社サイトを開発・運用しています。16言語対応・SEO強化により直販比率を高め、OTA手数料の削減に貢献しています」
 また、AIによる自動言語対応は日本滞在中に急病にかかった訪日客にも有効。ゲストの症状等を確認し、周辺の病院やクリニックを紹介する。
「家族で海外旅行中に娘が体調を崩した際、娘自身がAI翻訳を活用して現地クリニックで治療を受けることができました。会話で症状を伝えるのが1番ですが、十分な語彙力がない場合は、AIがその言語力を補ってくれる段階にきています。AIを活用したホスピタリティが、これからの時代、より求められてくるかもしれませんね」
 金児氏に現状の課題について聞くと、以下の三つを挙げた。その上で、課題解決に向けて取り組んでいることを述べた。
課題1:OTA依存とコスト構造
課題2:人材・オペレーションの安定化
課題3:収益性と成長投資のバランス

将来の夢は「奈良国際空港」の建設

 最後に、今後の目標を聞くと「短期・中期目標としては、高付加価値宿泊施設の開業や1施設あたりの収益を高めることです。現在開発中のボヌールならまちは1泊7万円台(2名利用)を想定したデザイン特化型施設です。素材・空間設計にこだわることで、ラグジュアリー需要の取り組みを目指し、奈良の中心地における旗艦ブティックホテル開発を構想しています。国際的なデザインホテルブランドへの加盟も視野に、奈良観光の拠点となる旗艦施設を開業したいです」。
 ただし、上記は会社経営者としてのビジョン。金児氏自身の夢は「奈良国際空港の建設」だという。それは金児氏が世界約40カ国を訪れ、国際空港の重要性を感じたことから。
「わたしが生まれ育った奈良。1300年の歴史あるこの地に、世界中の旅行者を迎え入れるためにも国際空港を建設したいです。そのためにも、宿泊事業を通じて奈良の地域経済に貢献し、皆が空港建設を望むような状況になるよう励んでいきます」と締めくくった。

■会社基本情報
商号:株式会社コンフィーステイ
設立:2024年1月4日
代表:代表取締役 金児崇行
所在:奈良県奈良市小川町5-2
事業:宿泊施設の運営・管理(無人ホテル)
施設:奈良19施設・大阪3施設、計22施設(26年3月現在)、7月15日にはさらに4施設増加予定
https://comfystay.jp

取材・文:長谷川 耕平

HOTERES編集部

編集部

ホテル専門メディア『HOTERES』の編集チーム。創刊60年の専門誌「月刊HOTERES」と「HOTERES Digital」を横断し、経営、開発、投資、ブランド戦略、運営、食、人材といったテーマを軸に、取材および調査・分析を行っている。業界をリードする経営者やトップマネジメント、事業者・運営会社・投資主体への取材に加え、日本国内のホテル新規開業動向、ホテルチェーン一覧、売上高ランキングなどのデータ収集・整理を継続的に実施。マーケット・リサーチの視点も取り入れながら、ホテルを取り巻くビジネスの構造や意思決定の変化を多角的に提示している。