
ホテル運営における“分断された問い合わせ”という課題
宿泊・観光・飲食業界向けに、多言語AIを活用した通信・応対基盤「TabiCall」を展開する㈱Alis。同社代表の志強氏は、現在のホテル業界を次のように捉える。
「宿泊業界は、深刻な人手不足や多言語対応の負荷が高まる一方で、訪日需要の拡大によって大きな成長余地を持つ市場です。
一方で現場では、電話・内線・館内案内・予約前後の問い合わせが分散し、対応の属人化や機会損失が起きやすい構造になっています」
問い合わせ対応は“コスト”として扱われがちだが、実際には顧客接点そのものであり、設計次第で価値に転換し得る領域でもある。
問い合わせ対応を“基盤”として捉え直す
「TabiCall」は、単なる問い合わせ対応ツールではなく、ホテル運営全体に関わる基盤として設計されているという。
「代表電話、館内内線、客室からの問い合わせ、QR導線、メッセージ対応などを統合し、24時間・多言語で一次応対できることが特長です。
これによりスタッフの負荷軽減だけでなく、取りこぼしていた問い合わせや予約機会を売上につなげることが可能になります」
資料でも示されている通り、電話・チャット・館内案内など複数の顧客接点を統合し、
「問い合わせ→予約→滞在→再訪」までを一体で捉える設計が特徴だ。
共創によって“ホテルごとのAI”を育てる
同社は、導入先を単なる顧客ではなく“共創パートナー”と位置づける。
「施設ごとに異なる運営フローや接客方針、館内案内などを整理し、そのホテルに最適化されたAI応対を一緒につくっていくことが重要です」
志強氏は、AIを“導入するもの”ではなく、“育てていくもの”と捉える。
「実運用の中で得られる問い合わせ傾向や改善点を共有しながら、予約導線の強化や直販強化までを見据えたパートナーシップを築いていきたいと考えています」
施設ごとのルールや接客基準を反映し、専属の応対エージェントへと進化していく仕組みも特徴の一つだ。
AIは“接客の代替”ではなく“接点の再設計”
今後、この領域はどのように進化していくのか。
「個別のツール導入から、ホテル全体の顧客接点を統合するAI基盤へと進化していくと考えています」
志強氏は、電話やチャット、館内案内などの接点がつながることで、
少ない人員でも高い接客品質を維持できる運営が可能になると指摘する。
また、「Tabiちゃん」は30言語に対応し、電話・内線・メッセージを横断して対応することで、
現場の負荷軽減と接客品質の両立を実現する。
こうした取り組みは、単なる業務効率化にとどまらない意味を持つ。
問い合わせ対応はこれまでコストとして捉えられがちだったが、実際には顧客が意思決定に至る直前の重要な接点でもある。
その接点を分断されたままではなく、統合された“導線”として設計し直すことで、問い合わせを売上へとつなげていく。
人手不足や多言語対応といった課題が続くなかで、ホテル運営における顧客接点のあり方そのものが、改めて問われている。
