【HOTERES創刊60周年記念企画】ホテル業界の現在地とこれから――(株)ハセガワエスティ

月刊HOTERES創刊60周年を記念し、ホテル業界を支える企業・ホテルの歩みと現在地、そしてこれからの展望を紹介する特別企画。業界を取り巻く環境が大きく変化する中、これまで大切にしてきた価値観や取り組み、次代に向けて描く未来について(株)ハセガワエスティに聞いた。

Q1|貴社グループの事業概況と、HOTERESとの歩み

本年2026年で、創業118年目を迎えるハセガワエスティは、家具製造販売から始まりました。
婚礼家具を主力商品とした在庫ビジネスから脱却した1997年。2000年からは新たな社名、(株)ハセガワエスティとして「体験価値」を提供する業態に変化しました。
特にウエディングというプレイスレスなイベントを約30年にわたり追及してきました。
司会から始まり、会場運営、音響、映像、写真、演出、植物を核とした空間デザイン、映画製作と総合的な「空間づくり」に取り組んできました。その広がりの中で中心にあったのは、人でありその人の魅力を高める教育でした。ハセガワエスティの歩みは「教育」の軌跡でもあります。
HOTERES様の50周年の際は、プロデューサーの一人としてディレクションに参加させて頂き、日本のホテル業界が今日のような発展があるのは、まさにメディアの中核にホテレス様があった偉業であるという歴史を知りました。今後も未来永劫、業界を力強く牽引して頂けると確信しています。

Q2|人材育成への考え方——現場で求められる力と教育の役割

設立から100年の歴史を持つ大正大学は、日本で唯一の「仏教連合」の大学です。仏教学部の他に文学部、人間学部、臨床心理学部など、「和」の精神を元とした学部で構成されています。
そのような「利他の心」を学ぶ学生さん達は、現在の日本の観光ビジネスを支え、成長させる人材であると感じています。私の授業(ゼミ形式単位認定)では、授業料を払って学ぶ「学生」から、給料をもらって提供する「社会人」へスムーズにシフトするための考え方、技術、方法を、教えています。このシフトチェンジは中々ハードルが高いです。小学校から始まり大学卒業まで16年間も慣れ親しんだ「仕組み」ですから。最短コースで変化できるよう、そのゴールと本質、なぜそうしなければならないのか?を解説しています。

Q3|学校教育と現場をつなぐ取り組み——実践的な学びの設計

学生さん達には、まずは、なぜ、そうしなければならないのか?次に、方法をお伝えします。その次に技術。例えば、観光ビジネスで不可欠なのは「聞くこと、話すこと」コミュニケーションです。話すことの基本は、声と活舌です。そこから訓練します。学校生活ではこの基本は学ぶ機会がありません。ですから、正しく声を出すこと、きちんと発声することを、私の授業では教えています。毎日練習して2週間もすれば個性に合った声を獲得してくれます。そして、次に敬語です。「和」の象徴である敬語、この敬語の考え方、本質を知ることで、思いやりや謙虚さについて体得できるようになります。自信満々で話してくれる学生さんの姿を見ると、日本の未来も明るいと嬉しくなります。

Q4|次世代のホスピタリティ人材へのメッセージ

日本は、今、海外から多くのお客様をお迎えしようと努力しています。その潮流は今後も益々加速されることでしょう。
今、日本を訪れる方々へ何を提供できるか?
今できること、やっている「日本の和の思いやり」が未来の観光の数字を左右していくことでしょう。
今、私たちに何ができるのか、行動だけではなく、仕組みや教育も徹底して精査していく時期と考えます。

Editor’s Note


(株)ハセガワエスティ 代表取締役社長 阿久津五代子氏
昭和39年5月26日生まれ。2004年より(株)ハセガワエスティ代表取締役社長として、プロフェッショナル人材の育成に邁進している。2025年に「悪妻謙母のすゝめ」を出版。2026年に英語&日本語書籍と英語Kindle版を発売。2022年より経団連東京経営者協会依頼の「経営トップが語るキャリア育成」にて、大正大学の単位認定講座で授業を受け持つ。2023年より客員教授として「ホスピタリティ探求」をテーマとした単位認定ゼミ形式で育成に取り組んでいる。2020年からは、特に女性の能力開発に力を入れている。


HOTERES編集部

編集部

ホテル専門メディア『HOTERES』の編集チーム。創刊60年の専門誌「月刊HOTERES」と「HOTERES Digital」を横断し、経営、開発、投資、ブランド戦略、運営、食、人材といったテーマを軸に、取材および調査・分析を行っている。業界をリードする経営者やトップマネジメント、事業者・運営会社・投資主体への取材に加え、日本国内のホテル新規開業動向、ホテルチェーン一覧、売上高ランキングなどのデータ収集・整理を継続的に実施。マーケット・リサーチの視点も取り入れながら、ホテルを取り巻くビジネスの構造や意思決定の変化を多角的に提示している。
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