イベント告知

次の20年はどう変わるか WiT Japanが示す未来の構造

2026年6月1日(月)2日(火)に開催される「WiT Japan」。デジタルを起点に旅行業界の変化を読み解いてきた本イベントは、いまや単なるカンファレンスではなく、次の時代の構造を捉える“場”として存在感を高めている。2026年のテーマ「The Next 20」が示すものとは何か。旅行業界、そしてホテル経営・運営にどのような示唆があるのか。注目セッションやキーパーソンとともに、その見どころを聞いた。

Q1|WiTの位置づけ・価値

「WiT(Web in Travel)」および「WiT Japan by Northstar」のグローバルのトラベル業界における役割・位置づけについて

A1: WiT(Web in Travel)は、20年間にわたり旅行業界のデジタル進化を追い続け、その方向性を形作ってきたメディアプラットフォームであり、グローバルなコミュニティです 。中でも「WiT Japan」は、日本、韓国、中国、台湾といった東アジア市場と、グローバルプレーヤーが交差する独自の立ち位置を築いています。ここは単なるカンファレンスではなく、創業者、オペレーター、技術者が集い、変化を読み解きながら次なる未来を共に構築していく「アイデアの市場(マーケットプレイス)」としての役割を担っています。

Q2|2026年のテーマと背景

今回のテーマと設定背景、現在の旅行・観光業界における課題認識について

A2: WiT Japan 2026のテーマは「The Next 20 – Precision, Reinvention & Quiet Power(次の20年:精密さ、再構築、そして静かなる力)」です。AIや自動化が加速する世界において、北アジアは職人技、規律、そして長期的な視点に根ざした独自のレンズを提示しています。現在の業界は、短縮化される予約導線(カスタマージャーニー)、変化する流通の勢力図、そして高まる顧客の期待という課題に直面しています 。単にどれだけ速く動くかではなく、どれほど意味のあるものを構築できるかが問われているのです。

Q3|ホテル業界にとっての意義

ホテル経営・運営にどのような示唆が得られるのか、参加・注目する意義について

A3: ホテルにとってWiTは、自らの役割がどのように再定義されているかを知るための窓となります。流通の断片化が進み、収益源は客室以外へと多様化し、顧客接点は直線的な旅の行程から「常時接続のエコシステム」へと移行しています。オーナーや運営者は、AIがどのように価格設定やパーソナライゼーションを再形成するのか、プラットフォームがどのように需要を左右するのか、そして「在庫」ではなく「体験」がいかに価値を決定づけるようになるのか、といった点について深い示唆を得ることができるでしょう。

Q4|注目セッション/キーパーソン

特に注目すべきセッションや登壇者と、期待される議論について

A4: 「Airlines Rewired」や「次世代のホスピタリティ」といったセッションに注目です。JTBの山北栄二郎社長、Agodaのオムリ・モーゲンシュターンCEOをはじめ、Trip.comやExpedia、Booking.comといったグローバルプラットフォームのリーダーが登壇します。また、KlookやVELTRAなど体験予約の旗手も名を連ねます。単なるトレンド解説に留まらず、「顧客を所有するのは誰か」「価値はどこへシフトするのか」「AIファーストの世界でビジネスをどう適応させるか」といった、経営に直結する本質的な議論が期待されます。

Q5|テクノロジーとホテルの関係性

旅行テックの観点から、ホテル業界に影響を与える重要な変化(流通、価格戦略、体験等)をどう捉えているか

A5: テクノロジーは、ホテルを単なる「客室の提供者」から「体験のプラットフォーム」へと変貌させています。AIは価格戦略やオペレーションを再構築し、データは大規模なパーソナライゼーションを可能にしました。一方で、新たな仲介者やインターフェースの登場により、流通構造はより複雑化しています。今、ホテル業界に求められているのは、効率性と人間性のバランスです。テクノロジーを、ホスピタリティの本質を置き換えるためではなく、それを強化するためにいかに活用するかが、最大の論点といえます。

Q6|今後のトレンドと展望

2026年以降の注目キーワードや方向性、ホテル業界にとって重要な視点について

A6: 今後のトレンドとして、AIとソーシャルメディアによる発見(ソーシャルディスカバリー)が加速し、従来の旅行予約の形(ファネル)は崩壊し続けるでしょう。また、フィンテックからメディアプラットフォームに至るまで、B2Bインフラを活用した異業種からの旅行業参入が相次ぐと予想されます。ホテルにとっての重要な転換点は、単に「部屋を売る」ことから「旅をキュレートする(整える)」ことへのシフトで 。成功の鍵は、テクノロジーと強力なアイデンティティを融合させ、顧客が誰であるかだけでなく「なぜ彼らにとって自社が重要なのか」を理解することにあります。

開催概要

  • イベント:WiT Japan by Northstar https://www.witevents.com/witjapan/
  • 日時: 2026年6月1日(月)13:00・2日(火)9:00
  • 場所: ウェスティンホテル東京 宴会場「ギャラクシー」
  • 主催: WiT Japan実行委員会
  • 登壇者例: 山北栄二郎氏(JTB代表取締役社長)、オムリ・モーゲンシュターン氏(Agoda CEO)ほか
  • HOTERES読者特別割引コード(15%OFF):HOTERESONLY26
  • お申込みURL: https://www.witevents.com/witjapan/

Editor's Note


WiTは、単なるテックイベントではない。
むしろ、旅行業界という巨大な産業の“構造そのもの”を読み解く場である。
今回の内容からも明らかなように、流通、価格、顧客接点、そして体験価値は、これまでの延長線では語れないフェーズに入っている。特にAIの進展によって、需要の捉え方や価格の決まり方、さらには顧客との関係性そのものが再定義されている。
ホテル業界に目を向ければ、その影響はより直接的である。客室という「在庫」を販売するビジネスから、体験を設計し、関係性を構築するビジネスへ。その転換は、もはや選択肢ではなく前提となっている。同時に、流通を握るプラットフォームの存在感は増し、顧客との接点は複層化している。

ホテルはどこで価値を生み、どこで主導権を持つのか。
この問いに対する答えは、企業ごとに大きく分かれていくだろう。

だからこそ重要なのは、「変化を知ること」ではなく、「どの立場で関わるか」を選ぶことである。総支配人、本部、開発、投資、デザイン、そして現場。それぞれの意思決定が、これまで以上に事業の方向性を左右する。

WiTは、その意思決定の前提となる視点と問いを提示する場である。単なる情報収集ではなく、自らの立ち位置を見定める機会として捉えるべきだろう。
すべてのステークホルダーにとって、この場は示唆に満ちている。文:武田雅樹


HOTERES編集部

編集部

ホテル専門メディア『HOTERES』の編集チーム。創刊60年の専門誌「月刊HOTERES」と「HOTERES Digital」を横断し、経営、開発、投資、ブランド戦略、運営、食、人材といったテーマを軸に、取材および調査・分析を行っている。業界をリードする経営者やトップマネジメント、事業者・運営会社・投資主体への取材に加え、日本国内のホテル新規開業動向、ホテルチェーン一覧、売上高ランキングなどのデータ収集・整理を継続的に実施。マーケット・リサーチの視点も取り入れながら、ホテルを取り巻くビジネスの構造や意思決定の変化を多角的に提示している。