ビズメイツ㈱ 取締役 伊藤 日加氏
英語を学ぶのではなく、英語で成果を上げる
——まず、ビズメイツ㈱の事業と、ホテル向け英語教育の特徴について教えてください。
ビズメイツは、単に英語を話せるようになるための英会話学校ではありません。英語に加え、異文化コミュニケーションやグローバルマインドなど、グローバルな環境で成果を上げるためのスキルが身につくプログラムを提供しています。ホテル向けでは、日本人ゲストに提供しているおもてなしを、シンプルで丁寧な英語で外国人ゲストにも届けることを重視しています。例えば、チェックイン時に客室番号だけでなく部屋から見える景色を一言添える。難しい英語でなくても、相手の次の行動を先回りすることでサービスの質は変わります。
自主性任せでも、トップダウンだけでも続かない
——英語研修を定着させるには、何が必要なのでしょうか。
本人の自主性だけに任せると、忙しいホテルの現場では学習が後回しになります。経営側が、これは事業戦略に必要な仕事だと示すことが重要です。外国人富裕層を獲得するという方針があっても、その背景が現場まで伝わっていなければ、スタッフには研修が業務を増やすだけのものに見えてしまいます。
ただ、トップダウンで受講させるだけでも続きません。よくあるのは、人事が一般的な初心者向け英語やTOEIC教材を用意しても、現場ではホテルの仕事のどこで使うのかとなるケースです。必要なのは、会社が仕事として取り組ませること、実務に直結した英語を学ぶこと、学んだ内容を実際に使う場をつくること。この三つです。
インタビューに応じるビズメイツ㈱ 取締役 伊藤 日加氏
教材を「現場のマニュアル」にする
——実務に直結した研修とは、どのようなものですか。
英語を流暢に話すことではなく、自分の仕事を英語でできるようにすることです。自ホテルの施設案内や料理説明、周辺観光、クレーム対応などを教材にすれば、勉強のための教材ではなく、現場で使うマニュアルになります。学んだ翌日に使える内容だからこそ、学習の意味も見えやすくなります。
さらに講師がゲスト役となるオンサイト研修では、チェックインや道案内、クレーム対応などを本番さながらにその場で実践します。そこでできなかった部分を再び学ぶ。OJTだけでも研修だけでもなく、学習と実践を往復させることが重要です。
文化の壁とAI時代、人に求められるもの
——異文化理解やAIの進化をどう捉えていますか。
言語上のミスなら数字や日付を訂正できますが、文化の違いからくる誤解は、この人とは合わない、この会社では働けないという感情にまで発展することがあります。ゲスト対応だけでなく、外国籍スタッフが増えるホテルでは社内コミュニケーションやマネジメントにも直結します。外国籍スタッフだけでなく、日本人スタッフや管理職も文化や伝え方の違いを学ぶ必要があります。
一方、館内情報やFAQはAIや翻訳ツールで対応できるようになります。だからこそ、人が接客する一回一回の価値は高まる。相手の表情や反応を見ながら言葉を調整し、自分の人柄を伝え、あの人にまた会いたいと思っていただく。英語の役割は、情報を伝えることから、ゲストとの信頼を築くことへ変わっていくと考えています。
ホテルは何から始めるべきか
——これから英語研修を導入、または見直すホテルは、何から始めればよいでしょうか。
まず経営側が、なぜ英語教育が必要なのかを明確にし、現場まで共有することです。次に、フロントや料飲など各部門で実際に困っている場面を洗い出し、教材やロールプレイに落とし込む。そして、学んだ内容を現場で試し、できなかった部分を再び学ぶ。経営が目的を示す、現場に必要なことを学ぶ、実践して改善する。この循環を継続することが、成果を生む英語教育の出発点です。
【お問い合わせ】ビズメイツ㈱/〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-19-23 Daiwa秋葉原ビル11階/TEL:03-3526-2659