Mohammed VI Tower ©SergioGrazia
日本らしさは、デザインするものではない
世界中でラグジュアリーホテルを手掛けてきたPYRが日本でホテルをデザインすると聞けば、多くの人は「日本らしさ」をどう表現するのかに関心を寄せる。和紙、木、石、漆、障子や格子——そうした伝統的な意匠をどう取り入れるのか、と。だが、GELEZ氏の考えは違った。「私たちは、“日本らしいデザイン”を目指しているわけではありません。」日本だから和紙を使う、日本だから木を多用する、日本だから伝統文様を入れる。そうした発想から仕事は始まらない。大切なのは、その素材や技術がどんな歴史や文化のなかで育まれたの...
PYRは、日本に何を見るのか。 日本文化を、世界へ通用する体験へと翻訳する
世界のラグジュアリーホテルやブランドから選ばれるPYR。その哲学は、日本という市場でどう生かされるのか。今回の来日で進行中の日本のプロジェクトについて、詳細は語れないと二人は前置きした。それでもGELEZ氏とBATY氏の話からは、日本文化への向き合い方だけでなく、彼らが日本をラグジュアリーの世界においてどのような存在として見ているのかが伝わってきた。そこにあったのは、和紙や木、石といった分かりやすい「日本らしさ」を空間に持ち込むという発想ではない。日本の文化やものづくり、その背景にある価値観を理解し、ホテルやブランドが届けたい体験へと結びつけること。前編で紹介した「土地とブランドの本質を理解する」というPYRの哲学は、日本でこそ、いっそう深い意味を帯びる。